20世紀の終わり頃から2440などアルニコ磁石を採用しているユニットの減磁が問題だったのですが、ここに来て、 まともなユニットを探すのが難しくなってきているようです。 中には、間違った補修をしているため、かなりひどいユニットも中古市場に出回っていますので、購入する際は 注意が必要なようです。 先日、お客様が中古で購入された2440を補修する機会がございましたので、ついでに周波数特性なども測定して みました。 使用したホーンはAH820です。 |
このユニットの場合、2kHz付近に凹があるなど、異常な特性でしたので、早速バックカバーを取り外してみました。 |
2445用と同じチタン製ダイアフラムが装着されていましたが… |
バックカバーに貼り付けられていたスポンジがボロボロになってたらしく、比較的新しいスポンジに張り替えられて いましたが、厚すぎたため、ダイアフラムの上部を抑えるような状態になっていました。 |
早速、スポンジの下のフェルトも剥がしてウレタンフォームに張り替えたところ、赤色のカーブのような特性に なりましたが、5kHz付近の2オクターブにも及ぶ10dB近い凸は改善されていません。 |
もう1台の方は、2lHz付近の凹はないものの、1kHz付近と8kHz以上のレスポンスが減衰しすぎているようです。 |
こちらは、2441用のアルミ製ダイアモンドエッジのダイアフラムでしたが、トップに2445用と同じようなボタンの ようなものを剥がした痕があり、エッジの構造も、以前チェックした2441とは少し違うような印象を受けました。 リード線を固定するボルトの材質もオリジナルではありませんし、ちょっと気になります。 |
裏側を見ても、ちょっと状態が良くないようです。 |
早速、磁気回路のギャップを掃除機とガムテープで掃除しました。 |
ガムテープにススのような汚れが着いてくる場合は、ダイアフラムが焼け焦げた事があると見なしても間違いでは ないと思われます。ここに錆が着いてくるようでしたら、あきらめた方が良いかもしれません。 |
ダイアフラムを取り付けてから正弦波を入れてチェックしたところビリ付きがあったので、再び調べてみたのですが、 ギャップに細かなゴミが見受けられました。 |
掃除機とガムテープで再度掃除したところ、更に大きめのゴミが出てきました。 この手のゴミは鉄のカケラであることが多く、振動などで、より磁力の強いギャップ付近に集まってくる傾向があります ので、時間が経ってからビリ付くようになった場合は金属ゴミを疑った方が良いと思います。 |
最終的な特性は700Hzから8kHzにかけてかなり平坦になりましたが、やはり減磁の影響でハイエンドとローエンドは ロールオフしてしまっているようです。これですと、左右の偏差がけっこうありますので、シビアに聴くにはちょっと厳しい かもしれません。 ちなみに、200Hz以下にある凸は部屋のノイズですので、無視してください。このノイズの大きさは測定音圧の1/10 以下で、1dBの誤差にも満たないレベルですので、影響はほとんどありません。 |