エンジニア の 独り言

アンプの基礎

録音スタジオ、放送局など業務用のアンプに採用されている回路が、バランス入力・バランス出力です。


この回路は、バランス入力・アンバランス出力のアンプの最も単純な回路ですが、もちろんこれでは実用になりません。


そして、この回路が最も単純なアンバランス入力・バランス出力のアンプの回路です。
通常のアンプでは、バランス入力・アンバランス出力のアンプユニットで受け、バランス入力・アンバランス出力のアンプユニットで出すことになります。
なぜこのような入力用と出力用のそれぞれにアンプユニットが必要になるかというと、ボリュームの問題があるからです。
バランス信号のまま音量を下げようとする場合、+と−に対しそれぞれボリュームが必要になりますが、可変ボリュームの場合、全体のインピーダンス自体5%程度の誤差があり、2連で調整した場合、その誤差は更に大きくなってしまいますので、バランス伝送によるノイズキャンセリング効果が得られなくなる可能性が非常に高くなります。
以上のことから、通常のパワーアンプでは、バランス入力・アンバランス出力のアンプユニットでバランス受けし、ボリュームを通した上で、パワーアンプ段に入ることになり、業務用ではおなじみのBTLアンプの場合、パワーアンプ段の前にアンバランス入力・バランス出力のアンプユニットが入り、2ch.のパワーアンプ出力から+と−の信号が出力され、その出力をそれぞれスピーカーに接続することにより、2倍の電圧が供給できることになり、供給電力量にもよりますが4倍近い出力が得られるようになります。


この回路は、エーワイ電子オリジナルの回路で、バランスで受けた信号をそのまま2連ボリュームで音量調整し、直接反転型パワーアンプに入力しています。
ラインレベルではボリュームのギャングエラーによるノイズ増加は免れませんが、パワーアンプ出力ではノイズの混入は考慮する必要はなく、+用と−用のアンプの出力に多少の差があってもスピーカーから見た信号波形自体に変形はなく、単純に出力が大きくなるか小さくなるだけの問題になります。
このアンプの場合、バランス信号で受けない限り、BTL出力にはならず、3番ピンをアースに落としアンバランス入力にした場合、2番ピンに接続されたパワーアンプのみが働くことになり、出力が約1/4の通常のアンプと同じ動作になります。
EPWS-18VBTL に採用されているのが、この回路で、通常のBTLパワーアンプから、バランス入力アンプとバランス出力アンプを省略した、非常にピュアーなサウンドが得られます。
基本的には、5Wのパワーアンプ EPWS-5V_ks を反転アンプに変更し、BTL接続にした製品ですので、約4倍の18W程度の出力が得られます。
BTLアンプは独特のパワー感が得られるため、ハイパワーが必要ない場合でも導入するメリットはあると思われます。
業務用ではスタンダードであるバランス出力が備わっている機器をお持ちの方は、是非お試しください。

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