エンジニア の 独り言

バスレフについて

一部のオーディオ・マニアの方々の中には、バスレフの音はダンピングが悪く
もたついて聞こえると主張されている方もいらっしゃいますが、その多くの場合、
非常に古いユニットを古い設計のままのバスレフ・エンクロージャーに入れた
状態のサウンドを指摘されているようです。


ALTECの最新型のウーファー4156を約160リッターのエンクロージャーに取り付
けた時の特性ですが、このインピーダンス特性と周波数特性をどのように思われる
でしょうか。
古い設計のウーファーを小さいエンクロージャーに入れ、しかもバスレフのダクトの
面積が広すぎるか長さが足りないという、古いタイプのウーファー・システムの典型
的な特性とも言えますが、60Hzまでしか出ないというのは38cmとしては問題だと
思われます。
これはこの容量のエンクロージャーでもまだ容積不足のためQが高くなりすぎており、
更にポートのチューニングの周波数がウーファー側のロールオフする周波数に
近すぎるため、60〜80Hzに大きな盛り上がりができてしまっているからです。
このような周波数特性のシステムの場合、ちょっと聞いた感じでは低音が出ている
ように感じられることがあるようですが、直ぐにボンついて聞こえるようになるはずです。
しかも、バスレフの反共振周波数より下はローカットしたことになりますので、急激に
音圧が低下し、重低音不足の物足りないサウンドになりがちです。
(ちなみに公称の能率は99dB/W/mですが96dB/W/mの2216より低いようです。


こちらはRADIANのウーファー2216を140リッターほどのエンクロージャーに取り付け
た時の特性ですが、非常にダンピングの良い締まった感じでありながら、コントラバス
の開放弦の周波数である42Hzも十分な音圧で再生できますので、ロックやジャズだけ
でなく、クラシックでも破綻しません。
100Hz以下がロールオフしていますが、床や壁に近い場所へ置く、通常の設置では
かなり低い周波数までフラットに伸びます。

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