エンジニア の 独り言

コンデンサの構造 #1

ネットワークの音質に直接影響してくるコンデンサを構造から分析し、音響用としてどのようなコンデンサが望ましいのかを説明したいと思います。



コンデンサは向かい合った2枚の電極により電荷(電気エネルギー)を蓄えたり、放出したりするような構造になっていますが、その特性は電極の間に挟められた物質によって大幅に変化します。

当社のカスタムネットワークに使用されているコンデンサの構造は上の画像のようになっています。
2枚の電気伝導体箔と誘電体膜を交互に重ねて巻き込んだ旋回型(巻き型)構造になっており、この構造自体がインダクタの形となるため高周波特性は良くないのが一般的ですが、巻き方や線の引き出し方を工夫して無誘導化して特性を飛躍的に改善させています。
また、電気伝導体箔と誘電体膜をじっくり押さえながら加熱によって箔を縮まらせて、非常に固く硬化させ、更に本体をケースに入れて硬化性の樹脂で固めていますので、大電力を通過させても箔の鳴きは極限まで抑えられています。
誘電体膜の素材はポリエステル・フィルム(マイラーという名の方が一般的ですが)で、諸特性は優れた部類に入ります。
普通のポリエステル・フィルムは誘電吸収が1%以下で悪くはないのですが、ポリプロピレンの0.2%以下と比較しますと、やや大きいという欠点があります。しかし、ポリエステル・フィルムの中でも特殊で高価な素材を選択することと、上記の硬化によって、他のマイラー・フィルム・コンデンサとは一線を画した特性が得られています。
更に、リード線には銅線を採用し、しかも手間のかかるハンダ付けをしていますので、大電力を流しても、ロスが少なくなるようになっており、ネットワーク用としては、理想的な特性になっています。

ただ、非常に残念なことに、このコンデンサーは製造中止になっており、入手は不可能です。


普通のプラスチック・フィルム・コンデンサ