エンジニア の 独り言

同軸型スピーカーのホーン


5215Bが発売される前に一時期販売していたPASの同軸型ホーン付きウーファーユニット。
PASEMILARのドライバーを採用していたため、当社も相互交流のため、販売しており
ました。
ちなみに、UREIも一時期604の代わりにこの会社の1インチスロート・バージョンの同軸型
ホーンユニットを採用していました。
(ただしドライバーにはJBLの2425を採用していたようです。)

ALTECの604や、それを改造したUREIのシステムの場合、ウーファーの中央に
小さめのホーンが付けられていますが、このタイプですとホーンのカットオフ周波数
を充分低くすることができないため、ウーファーをより高音域まで使うことになります。
そこで問題になるのは、ホーンがウーファーから出てくる音の障害物になってしまう
事です。これは高い周波数になるほど顕著になりますので、ただでさえクロス・
オーバー周波数が高くなる傾向のある同軸型スピーカーでは問題になります。
UREIの場合、ホーンにスリットを付けるなどして、コーン紙をホーンの延長として
積極的に活用していますので、小型のホーンながらALTECのオリジナルより低い
クロスオーバー周波数になっています。[ALTECの604 参照]



RADIAN 5215B

これに対して、RADIANの同軸型スピーカーは昔のタンノイのように、コーン紙を
ホーンの延長として利用し、低い周波数までロードがかかるようになっています。
これは直径38cmのホーンを使っていることと同じですので、当然といえば当然なの
ですが、別のホーンを使用する場合と比較しますと、エンクロージャーの製作も楽
ですし、トータルのコストもかなり安くあげることができます。しかも音像が一点に
なりますので、スタジオモニターとして最適なのは言うまでもありません。

以前は同軸型スピーカーをPAに使用するのは一般的ではありませんでしたが、
RADIANの同軸型スピーカーの場合、クロスオーバー周波数も充分低くできますし
耐入力も抜群ですので、これまでにないシステムの構築が可能になります。
最近また、ユニット同士をV字形のバッフルに取り付け、遠達性を向上させたという
システムが注目を集めていますが、これと同じような特性にするにはラインアレー状
に同軸型スピーカーを積み上げるだけで済みますし、更に、まずクラスター状に
積み上げてから、クラスターの中心部から周辺に掛けてディレイをかければ、
スピーカーを動かさずに、指向性をコントロールすることが可能です。この方法です
と、水平方向への拡散性もコントロールできますので、アリーナなど、かなり広い
角度をカバーしなければいけない状況にも、しっかり対応できます。
V字形バッフルのシステムの場合は、横方向に積んでしまいますと、普通のシステム
以上に干渉がひどくなりますので、注意が必要です。