エンジニア の 独り言

ケーブルの材質について

最近、PCOCCと表示された偽物が出回っているようですので、お買上げの際は十分ご注意下さい。
偽物は無酸素銅ではあっても単なるタフピッチ銅線で、純度も低く、サウンド的にも鈍った感じがしますので、普通の無酸素銅のケーブルと比較して違いがハッキリしない場合は、[PCOCC by FURUKAWA]のマークが入っているかご確認下さい。


画像提供 : プロモーション・ワークス
これは一般的な銅線の一種であるタフピッチ銅の断面の画像ですが、銅が固まる段階で次々と結晶が生成され、その結晶の境界面で様々な悪影響が発生しているようです。
音が良いとされているOFC (Oxygen Free Copper : 無酸素銅) も、構造的には同じですので、たとえ不純物が少なくなっていても、 導電率は低めで、音質的にも個性が出てきてしまいます。


画像提供 : プロモーション・ワークス
こちらは古河電工のPCOCCの断面の画像ですが、結晶の境界面が無いことがお分かりいただけると思います。
PCOCCとはPure Crystal Ohno Continuous Casting Process (単結晶状高純度無酸素銅)の頭文字を取ったもので、銅の結晶を連続的に成長させて、信号伝送方向の結晶粒界を理論的にゼロにした、導線としては理想的な構造になっています。
サウンド的には非常に癖が無く、ワイドレンジに感じられます。
ちなみにPCOCCのOは発明者の大野教授の頭文字です。
最近出回りだした偽物のPCOCCは不純物は少なくなっていても単なるタフピッチ銅でしかありませんので、音質的には普通のOFCレベルです。
一度、PCOCCの音質に慣れてしまいまずと、どんなに純度の高いOFCでも、独特の癖を感じてしまうようになるはずです。

PCOCCにはオリジナルのPCOCC-Hとアニール加工(焼き鈍し)をしたPCOCC-Aの2種類があり、KOZY STUDIOでお薦めしているのはオリジナルの方のPCOCC-Hです。
焼き鈍しをしますと、柔らかくなるため、扱いやすくなり、頻繁に折り曲げられる状況でも断線の可能性が低くなる可能性も出てきますが、サウンドも軟らかくなってしまうようですので、純粋に音質を追求する用途には向いていないように思われます。

PCOCCのケーブルの詳細に関しましては、古河電工で設計を担当されていた根岸さんが書かれた 「ラジオ技術」に掲載された記事 をご覧下さい。