エンジニア の 独り言

ホールの特性

  



このデータはJBLの2226のダブル・ウーファーを測定した物ですが、
緑線はウーファー2発の中間にマイクを置いて測定した場合で、
それぞれのウーファーの軸上で測定したところ、500Hzから3kHzに
かけて、干渉のためかなりの落ち込みがありました。
また、ローエンドは50Hzまでフラットになっており、見た目には良い
のですが、この特性には少し問題があります。



200Hz付近の音圧と比較してローエンドが10dB近く盛り上がってしまって
いるのがお分かりいただけると思いますが、聴感上も、もたついて聞こえる
ようです。
また、50Hz以下のレスポンスが激減していますので、キックドラムやベース
など重低音の再生には限界があるようです。



こちらは5215Bの特性ですが、ボン付きが気になる100Hz以下をなだらかに
ロールオフさせていますので、締まりが良いのに、十分な量感の低音が得ら
れています。



ホールのように閉じられた空間ではローエンドが盛り上がりますが
このシステムの場合、それも計算に入れて設計されていますので
盛り上がりも適度に抑えられています。
しかも40Hzでも十分なレスポンスがあるため、重低音の再生能力
も十分あり、一般的なコンサートではサブ・ウーファーは不要のよう
です。
このシステムでサブ・ウーファーが必要になるのは、野外や30Hz
付近の超低音を再生しなければいけない場合に限られるでしょう。



一般のPAエンジニアの方々でも普段使っているマイクも合わせた
トータルの周波数特性まで考慮してミキシングすることはマレかも
しれません。
このデータはシュアーのSM58で拾った音の周波数特性です。
赤線はワーブル・トーン、緑線は正弦波によるものですが、正弦波
の方はホールの残響など音場の影響を受けやすいので、細かな
ピークやディップは無視していただいても聴感上は問題ありません。
しかし、いくらスピーカーの方がフラットな周波数特性であっても、
マイクによって、赤線の特性のようなイコライジングがされてしまう
わけですから、音源に合わせて適切なマイクを選ぶ必要があります。
RADIANのスピーカーを使っていて、高音が出過ぎて聴いていて
耳が疲れると感じられた場合は、マイクなどの入力源の周波数特性
をチェックしてみて下さい。